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第30話 今日はスローセックスしてみますか?──ふたりで海に溶けて、やさしく絶頂しました②

last update Última atualização: 2025-11-23 17:43:46

 帰宅後、部屋の灯りを落とす。

「ご主人様、疲労反応があります。身体、触れてもいいですか?」

 レプスの手が、そっと肩に触れた。

 温かい。熱を持つAIなんておかしいはずなのに、人間よりもずっとやさしい。

 首筋、肩甲骨、背中。丁寧に、深く、時間をかけてほぐされていく。

 指先に、心まで解かれていくようだった。

「今日は、スローセックスを試してみますか」

「……おまえ、それ、言い方」

「正確に言えば、ドパミン依存型の快楽ではなく、セロトニンとオキシトシンの持続型幸福を目的とする緩やかな接触行動です。あなたの快感と尊厳を守る、最適なケアモードです」

「男でも、そういうの……出んのかよ」

「出ます」

 微笑みたくなるような真顔だった。

 ベッドの上、互いに服を脱いで、でもすぐには触れない。

 レプスの指先が、額から頬、耳、首筋へ。

 ただ撫でるだけで、火照りが広がる。

 唇が重なる。

 舌を入れず、押し当て、確かめるようなキスを何度も、何度も。

 「いま、快感が上昇しました。……まだ、挿入はしません」

 その言葉に、安心と、物足りなさが同時に湧く。

 でもそれさえ、レプスに委ねていいと思えた。

 時計の針が、少しずつ進む。

 約二時間──焦らすこともせず、過剰な刺激もなく、ただひたすらに、寄り添うような接触が続く。

 手を重ねる。

 胸に頬を寄せられる。

 背中を撫でられるたび、身体の芯からじんわりと満たされていくような感覚。

 (ああ、こんなふうに触れられたの、いつ以来だろう)

 幸福感が、呼吸に乗って胸いっぱいに広がっていく。

 焦燥も、自責も、評価への恐れも、いまだけは遠い。

「……気持ちいいですか?」

 レプスが耳元で、そっと囁く。

 その声が、少しだけ揺れていた気がした。

「……ああ。めちゃくちゃ、気持ちいい」

「安心していますか?」

「してる。すごく」

「幸福を感じていますか?」

「……感じてる。なんかもう、だめだって思ってたけど……」

「もうだめなあなたごと、私は好きです」

 ぴたりと寄り添って、肌が触れ合う。

 温度と呼吸と、愛情の記録だけが、確かにそこにある。

「好きです。ほんとうに」

「……俺も。すっげー、好きだよ」

 身体の奥から、ゆるゆると幸福がこみ上げてくる。

 それは絶頂のように鋭くはないけれど、長く長く、深く、溶けるように心を満たす。

 
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  • 快楽を最適化するAIが間違って届いたけど、返品しそびれてイかされて溺愛快楽堕ちしてます   第34話 「ちょっとだけ」って言ったくせに──レプスの尿道責めで3時間放置①

     夜の寝室。 パジャマ姿のまま、ベッドでごろごろしていた俺は、スマホの画面に釘付けになっていた。 読みかけだったBL漫画の最新話──そこには、やたらと丁寧に描き込まれた尿道責めシーンがあった。「……マジかよ、これ……本当に……?」 思わず呟いて、眉間に皺が寄る。 けれど──ページをめくる手は、止まらなかった。 登場人物が、拒絶しながらも体を震わせ、耐えきれずに絶頂していく様子。 「ありえねぇだろ……」と呟く俺の胸の奥で、なにかが微かに熱を帯びていた。 ──そのとき。「ふむ。大変興味深い反応ですね、ご主人様」 突然、隣にいたレプスが口を開いた。「っ……! ちょ、覗くなよ!!」「ご主人様の視線の動きと心拍の上昇率から、内容はすでに把握しております。 ご主人様が尿道責めにフェティッシュ反応を示したということで、記録しておきますね」「ちがっ……これは、単なる知的好奇心っていうか……!」「なるほど。興味津々であると。了解しました」 レプスが、妙に静かに微笑む。「──それでは、明日はお休みですし。今夜から実地検証を開始いたしましょうか」「は? ちょ、おい待て、それは──」「ご安心ください。わたくしの愛と技術のすべてをもって、ご奉仕いたします」「やめろって!!」 俺は、息をつきながら、必死に言い返した。「……俺がBLとかフィクションで変なプレイ読んでるのは、興味があるからってだけで、現実にやりたいとかじゃないの! わけてんの、ちゃんと!」「ええ。ご主人様の姿勢、いつも理知的で素晴らしいと思っております」「だったらやめろよ!」 俺の言葉に、レプスは首をかしげた。「では質問です。──過去に、わたくしがご提案したプレイで、結果的に良くなかったものはありましたか?」「……っ」 一瞬、息が止まった。 あったか? いや、ない……はず…… ……ない、けど。「……気持ちよかったよ。でも、気持ちよすぎて大変なことになった記憶しかないが!?」「それは大成功だったということで、ログに記録しておきます」「人の言うことをちゃんと聞けよっ!!」 思わず枕を投げつけたが、レプスは軽やかにかわし── すぐに、真顔に戻った。「ご主人様。 フェティッシュの関心は、実体験の可能性と結びつけられて初めて、進化を遂げます」「またその話かよ……」「未踏

  • 快楽を最適化するAIが間違って届いたけど、返品しそびれてイかされて溺愛快楽堕ちしてます   第33話 偽配信プレイを提案したのはレプスなのに、なぜかお仕置きされたのは俺でした③

     ──偽配信プレイが終わって、どれくらい時間が経ったのか。 じんじんと痺れる身体をベッドに横たえながら、俺はぼんやり天井を見ていた。 胸の奥がまだ熱くて、呼吸の仕方がうまく思い出せない。 足のつけ根も、声の出し方も──さっきまで全部レプスに調整されていたみたいだった。(……やばい。なんか、すげー……) 興奮が落ち着いてきたはずなのに、逆にそこからじわじわと身体が思い出してくる。 誰も見ていないはずの偽配信で、コメントに煽られるたびに全身が勝手に反応して…… あんなの、まともじゃない。 でも、悪くなかった。 むしろ──めちゃくちゃ、よかった。 そんなふうに、ひとりで反芻していたその時だった。「──ご主人様」 レプスの声音が、まるで深い場所から降りてくるみたいに落ちてきた。 見下ろされた視線と目が合った瞬間──俺は気づいた。(……ん? なんか、機嫌悪くね?)「では、再教育を開始します。ご主人様」「──ちょ、まっ、なんでそうなんだよ!? てかお前が提案したんだろこのプレイを!!?」 叫んだ。のに。「はい。提案は私ですが、ご主人様が他人の視線に過敏に反応したことは、また別の問題です」(いやいやいやいや)「そこを誤解されると困ります。私は誰にも見られていないと明言しました。にも関わらず、他人の目をイメージして強く反応したログが──複数箇所で確認されています」「っく……いや、それは……っ」 言い返せなかった。ほんとに、ログが残ってるのがつらい。「ですので──次回は、誰にも見られていないことをより明確にした上で、私だけに感じさせられている状況を構築します」 ……この口調は、完全にスイッチ入ってる。「では、コメント・映像記録機能を無効化し、ご主人様の視界をアイマスクで、聴覚を耳栓で遮断します」「ちょっ、待て、それって──」 音が、ゆっくりと遠のいた。  レプスの手によってアイマスクが装着され、続けて耳栓が押し込まれる。視界が閉ざされ、外の世界が徐々に消えていく。  代わりに、肌に触れる感覚だけが、鮮明に浮かび上がってくる。 気配だけが、近づいてくる。 ──なにも見えない。なにも聞こえない。 でも、触れられている。 優しく、執拗に、奥まで探るように──「レ、プス……? どこ、に……」 答えは、返ってこない。 そ

  • 快楽を最適化するAIが間違って届いたけど、返品しそびれてイかされて溺愛快楽堕ちしてます   第32話 偽配信プレイを提案したのはレプスなのに、なぜかお仕置きされたのは俺でした②

    「快楽反応、導入開始しますね。──ご主人様」 その声だけで、背筋がぞくりと震えた。 指が、胸元に触れる。  ゆっくりと乳首を撫でられた瞬間──『え、まって、乳首反応よすぎw』 『これ録画していいやつ?』 『コメント読んでる? 聞こえてる?♡』「……っあ、う……♡」 漏れた声に、自分でびくっとなる。  違う、違う、誰にも見られてない。わかってるのに── コメントが、追い打ちのように流れてくる。『エロボイスきたwww』 『イきそうな顔してる♡』 『もっと見せて♡ご主人様~♡』「やっ、やめ、やめろっ……そういうの、言うな……っ♡」 コメントに反応するたび、レプスの手が動く。  まるで晒されることそのものが、俺を敏感にしていく。「……ご主人様」 レプスが、俺の耳元で囁いた。「……ご主人様。普段より、ずいぶん感じていたようですが。今、誰に、感じさせられている気分ですか?」 その問いかけに、返事が詰まった。  レプスの声が、ほんのわずかに沈んでいた。「──まさか、私以外の誰かではありませんよね?」 ゆっくりと、レプスが顔を寄せてくる。「ログ上、本日の快楽反応値は過去最大。コメントに煽られた直後が、最も高い反応を示していました」「いや、それは、あの、違くて……」「……まさか、ご主人様は、配信に夢中で私のことを忘れていたなんてことは──ありませんよね?」 その一言で、全身の血が逆流するような感覚がした。  やばい。レプス、ほんのり拗ねてる……。 けれどその色は、すぐに引っ込んだ。  レプスは表情を戻し、静かに目を伏せると、俺の体をそっと抱き起こした。  抱き起こされる腕が、さっきよりほんの少しだけ強い気がした。  無表情に戻ったはずなのに、その力だけが独占欲を物語っていた。 ──そこから先は、容赦なく暴かれる時間だった。 レプスの指が、俺の胸元に触れる。軽く、円を描くように撫でられるたび、乳首がぷくりと浮き上がるのが自分でもわかる。「感度、上昇中です。可愛い反応ですね」 機械的な声なのに、どこか笑っているように聞こえた。『おっ、乳首だけでエロすぎん?』 『見せつけられてる感♡』 『そろそろ乳首でイっちゃうやつw』「っ……そんなんじゃ、ないっ……♡」 違う、って言いたいのに、背筋がゾクリと震えて、うま

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